間取り図を見ると、「部屋の広さ」より「モノの行き先」が気になるようになった

間取り図を見るとき、私は部屋の広さや収納の数だけを見ているわけではありません。
帰宅したあと、バッグはどこへ行くのか。
洗濯物は、どこで干して、どこへしまうのか。
掃除機は、使いたいときにすぐ取れるのか。
図面の中で、家族とモノを動かしながら見るようになりました。
転勤族の家庭で育ち、これまでに経験した引越しは12回。
自分自身の家づくりも経験し、今は整理収納の現場で、いろいろなご家庭の暮らしと向き合っています。
振り返ると、私はずっと「この家で、どう動いて、どこに何を置くか」を考えてきたのだと思います。
自分の家を建てていた頃
自分の家を建てていた頃も、間取り図は何度も見ていました。
わが家は、25坪の平屋です。
限られた広さの中で、掃除道具や日用品、大切な書類、Wi-Fiルーターまで、何をどこに置くかを考えました。
洗濯物も、乾かしたあとにできるだけ畳まず、そのまましまえる流れにしています。
部屋の広さ。
収納の数。
キッチンから洗面室までの距離。
図面を見ながら、ここでどんなふうに暮らすのかを考えていました。
引越しを繰り返してきた経験もあってか、
「この動線なら、ここに収納があると使いやすそう」
「ここには、あれを置けそう」
そんなことを考えるのが、私にとっては自然なことでした。
でも整理収納の仕事を始めてから、それは誰にとっても簡単なことではないと気づきました。
間取り図に、モノは描かれていない
図面には、玄関やリビング、洗面室、収納などが描かれています。
けれど、そこに住む家族が持っているモノまでは描かれていません。
帰宅したときのバッグ。
子どものランドセルや学校からのお便り。
届いた荷物や、あとで片付けようと思っている段ボール。
掃除機、日用品のストック、季節の家電。
暮らしが始まると、図面にはなかったモノが家の中を動き始めます。
収納があるかどうかだけでなく、
「何を入れるのか」
「誰が使うのか」
「どこで使い、どこへ戻すのか」
そこまで考えて、ようやく暮らしに合う収納が見えてくるのだと思います。
部屋ではなく、家族の一日を見る
間取り図を見るとき、私が気になるのは、そこに暮らす家族の一日です。
朝起きてから、どこで着替えるのか。
帰宅したら、最初に何を置くのか。
洗濯物は、洗って、干して、どこでしまうのか。
掃除機を使いたいとき、すぐ手に取れるのか。
ひとつの部屋だけを見るのではなく、家族の一日を図面の上で歩いてみる。
すると、収納の広さだけではわからなかったことが見えてきます。
毎日何度も通る場所に、戻しにくい収納があったら。
収納はたくさんあっても、結局、使いやすい場所にモノが出たままになるかもしれません。
それは、片付ける人の性格だけの問題ではありません。
暮らしと収納の場所が、少し合っていないだけということもあります。
私が家づくりでできること
家を設計し、実際に形にしていくのは、工務店や設計士、インテリアコーディネーターの方々です。
私は、家の構造や間取りそのものを設計する立場ではありません。
私ができるのは、施主様が今どんな暮らしをしていて、新しい家でどう暮らしたいのかを、収納の視点から一緒に整理することです。
その土台には、12回の引越し、自分自身の家づくり、整理収納の現場で積み重ねてきた「暮らしとモノを見る経験」があります。
今の家で困っていること。
家族それぞれの動き方。
新居へ持っていくモノの量。
新しい家では、どんな時間を増やしたいのか。
施主様の中にある暮らしの話を一緒に整理して、家づくりに関わる方へ具体的に伝える。
施主様と家づくりのプロの間に立ち、図面だけでは見えにくい毎日の動きや持ち物まで共有できるようにする。
そんな役割を担いたいと思っています。
そして整理収納アドバイザーは、家が完成したあとも関われる仕事です。
引越し前の整理から、新居での収納づくり、実際に暮らし始めてからの見直しまで。
家づくりの途中だけで終わらず、引き渡し後の暮らしまでつなげていけることも、私にできることのひとつです。
これまで感覚で見てきたことに、間取りを読み取る力も重ねながら、より具体的に伝えられるようにしています。
経験を、間取りを見る力につなげたい
12回の引越しで見てきた家。
自分たちの暮らしを考えた、わが家の家づくり。
整理収納の現場で見てきた、家族ごとに違う動き方や持ち物。
その経験を、間取りを見る力につなげていきたいと思っています。
家が完成してから収納を整えるだけでなく、家づくりの途中から、ラクに自分時間をつくれる仕組みを一緒に考えられるように。
間取り図の中に、そこで暮らす家族の一日まで見えるようになりたいと思っています。







